スッカラを作る理由は、形の愛らしさはもとより、
洋と和の間に存在しているような気がするからです。
そもそもカトラリーとは「洋」の文化ですが、
これほどまでに和洋折衷様々な料理が食卓にあがる現代において、
「和」に寄り添ったカトラリーがもっとあっても良いのではないかと感じ、
まずはカトラリーの中でもスッカラの制作から取り掛かりました。
昔韓国で使用されていたアンティークスッカラは、
ちょっと平らで、ちょっと大きめで、でもきちんとスプーンとして機能していて。
日本生まれではないのに、日本的でもある。
いわば韓国料理のみならず、和食にも違和感なく溶け込む雰囲気を持っています。
そこには形のみならず、真鍮という素材も一役買っていると感じます。
真鍮は経年により少しずつ色が濃くなり、表情が変化していく特徴がありますが、
この移ろいの美をまとった素材こそが、日本の食卓とよく馴染むように思うわけです。
そんなことを意識しながら、日本の食卓でも幅広い用途で使いやすく、程よいサイズで、
手馴染みがよく、永く使えるものを目指してデザインしました。
一つひとつ手作業で制作しており、非常に手間と時間がかかるものですが、
機械によるプレス成形では作り得ない素材の深みを感じていただければと思います。
ひとつ食卓にあるだけでその場の空気が変わる、そんなカトラリーを迎え入れてみませんか?